力学(mechanics)

コペルニクス(1473-1543 ※日本は戦国時代)

ガリレオ(1564-1642)・ニュートン(1642-1727)以前
止まっている状態が普通
動いているということは、力が働いている
力が働かないと物体は静止する。
矢が飛び続ける→矢に力が働き続けている

ガリレオ・ニュートン以降
外から力が働かないかぎり、物体は同じ運動をつづける
矢が飛び続ける→何も力が働いていない
宇宙探査機
物体が一定の運動状態にある
→物体にかかる合力は0
※1642年 清教徒革命

[慣性](inertia):
運動状態(静止状態含む)が変化しないという物体の性質
※inertiaはガリレオによる命名

タンカーは、港の25km手前でエンジンを切る

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★運動の第1法則(慣性の法則)
1.the law of inertia
Every object contitnues in a state of rest or of uniform speed in a straight line unless acted on by a nonzero net force.

ある物体が一定の運動状態(直線上を一定のスピード)がつづいている=その物体にかかる合力は0(力学的平衡, ΣF=0)

・一定の運動状態にあるもの挙げさせる
→自動車、自転車、ヘリコプター、道端の石
→目の前の消しゴム、壁にかかった黒板、


Mass is a measure of inertia.

ex.スーパーでカートを一定のスピードで押す
→押している力=空気抵抗+摩擦力



[力の単位]
1kgの物体に1m/s・sの加速度を生じさせる力を1N(ニュートン)という
→地球上では1kgの物体には9.8Nの重力がかかっている
→100gの物体にかかる重力は約1N(0.98N)


[垂直抗力](normal force):
接触面をとおして、他の物体に垂直に作用する力
[摩擦力]:
接触面をとおして、他の物体に平行に作用する力
運動方向と逆向きに働く
回っているタイヤと路面:静止摩擦力
ロックしているタイヤと路面:動摩擦力
動摩擦力は物体の速度とは関係なく一定
※流体摩擦(空気抵抗など)は速度に依存する
タイヤの数を増やしても動摩擦力は一定=停止距離も変わらず

[弾性力]
バネ、スポンジ、ゴムが元の形に戻ろうとする力
伸びたバネが縮もうとする力
引いた弓が戻ろうとする力


[空気抵抗]:
運動方向の前面の面積
速さの2乗に比例(速さが2倍になると、空気抵抗は4倍)
[速度](velocity)
ベクトル量

[速さ](speed)
スカラー量
一定の速度 = 一定の速さ + 一定の方向(一直線)

[加速度](acceleration)
運動状態の変化量/単位時間

地球上のすべての落下運動は、常に"等加速度"運動
:加速が生じる原因は、地球が一定の力で物体を引っ張っているから

自由落下運動の加速度:g=9.8m/s2 (10 meters per second squared)
※鉄の玉でも、鳥の羽根でも、紙でも同じ9.8m/s2
※ものによって落ちる速さがちがうのは、空気抵抗が原因


※厳密には赤道付近では遠心力が重力を相殺するため、緯度によって重力加速度は変化する
赤道付近:9.78m/s2
極付近: 9.83m/s2
※また地下に高密度大きな物質があると、重力異常を引き起こす

地球上のすべての落下運動は、重さにかかわらず同じ加速度で落下運動する

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★運動の第2法則(運動方程式)
The acceleration of an object is directly proportional to the net force acting on the object, is in the directrion of the net force, and is ineversely proportional to the mass of the object.

「物体の加速度aは、物体に作用する力Fに比例し、物体の質量mに反比例する」
a=F/m
F=ma
単位は加速度がm/s^2とkg
1N=1kg・m/s^2
10kg(10,000g)の鉄球と100gのボールでは、鉄球の方が重く感じる。つまり、鉄球の方が地球によって強く引っ張られている。地球はボールも引っ張っているが、その力は鉄球にかかる力に比べてずっと弱い。

地球は鉄球をボールよりも強く引っ張っているのであれば、鉄球の方が早く落ちるのではないか?

a=F/m

鉄球とボールでは重さに100倍の差がある、すなわち地球は、ボールを引っ張る力の100倍の力で鉄球を引っ張っている。しかし、鉄球ではボールの100倍の質量があり、慣性も100倍なので、加速度は結果的に同じになる。

ボール a= 1N/0.1kg
= 10 N/kg
鉄球 : a= 100N/10kg
= 10 N/kg


加速度は力に比例する

m:mass

mass(質量):
The quantity of matter in an object. It is also the measure of the inertia or sluggishness that an object exhibits in response to any effort made to start it, stop it, or change its state of motion in any way.
単位:kg, pound
Mass is a measure of inertia.
weight(重さ)
The force upon an object due to gravity.
重さとは"力"
単位:ニュートン
質量1kgの物体にかかる重さは、約10N

スケボー上の人間と、スケボー上の像では、後者の方が動かしづらい
加速度~1/質量 


万有引力の法則
F=-GmM/r^2
G:重力定数
G=6.67259 * 10^(-11)


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★運動の第3法則(作用反作用の法則)[作用・反作用]
Whenever one object exerts a force on a second object, the second object exerts an equal and opposite force on the first.
「物体Aが物体Bに力Fをおよぼしているときは、物体Bも物体Aに①同じ大きさで、②同一直線上に、③反対向きの力をおよぼす。」

前者の力:action force
後者の力:reaction force

AがBに力をかける
→①同じだけの力が、②同一直線上で、③反対向きに反作用の力が働く

???
人を殴って自分の拳が骨折することがあるのはなぜ?
ピッチャーの投げたボールをバットで打つ。
バットかボールを打っている?(バットがボールに力をおよぼしている?)
ボールがバットを打っている?(ボールがバットに力をおよぼしている?)
バットが折れるのはなぜ?

★力とは"相互作用"
:押すのにも、引くのにも必ず相手が必要

★力が作用するとき、作用者と受け手は対等な関係
The neither force has to be identified as "exerter" or "receiver".
Both objects must be treated equally.

★作用反作用の力は、働く対象がちがう(打ち消し合わない)
★作用反作用の力は、必ず同じ強さ

・押し返されることなしに、押すことはできない
・歩行によって前進できるのは、地面を蹴ることで地面が足の裏を蹴り返してくれるから(反作用の力がなければ、自分の体を押してくれるものがない→砂が後ろに飛ぶだけで、自分の体は前へ進まない)
・電車の吊り革を下に強く引くと、体が持ち上がる
・大砲を打つと、砲台が少しあとずさりする。反作用の力がなければ、砲弾が飛んで行くだけ
・壁を叩くと自分の拳も傷める
・ピンポン玉を投げるのに全力は出せない
・走っているときに人とぶつかると、相手が倒れるだけでなく、自分も反対方向にはね飛ばされる。反作用の力がなければ相手が吹っ飛ぶだけ。
・宇宙空間で止まるには逆噴射をする。反作用の力がなければガスが飛んで行くだけで、自分の体は止まらない。
・宇宙空間でボールを投げると、反作用の力で自分の体が反対方向に動く。
・壁を押しているということは、同時に壁に押されているということ(だから倒れない)
・サンドバッグを殴るならば、同時にサンドバッグが拳を殴っている(だから拳が止まる、拳を傷めたりする)
・釘をカナヅチで打つとき、釘もカナヅチを打っている(だからカナヅチは止まる)
・平泳ぎで、水を後ろに押す→水が自分を押し返す→前に進む
・ボート上から石を投げるとボートが反対方向に動く
・スケボーで壁を押す
・バスがハエと衝突するときでも、F(バス→ハエ)とF(ハエ→バス)は同じ強さ
・宇宙空間でもボールを投げることは可能
※ボールが重くなるほど、自分の体も後方に投げられる
・地球上の物体には重力がかかるが、地球上の物体も同じ強さで地球を引っ張っている

[砲弾と砲台]

砲弾 F=mA →質量が小さいので、加速度は大きくなる
砲台 F=Ma →質量が大きいので、加速度が小さくなる

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[力の合成]

①同一直線上にある場合
:2つの力の和
②同一直線上にない場合
:2つの力を表す矢印を二辺とする平行四辺形を描く
対角線をが合力を表す

2力の角度が小さくなるほど対角線(合力)は長くなり、高い合力が得られる。
2人二人で荷物を持つときは近づいた方が軽くなる
2力の角度が0になったときに最大となる(2力の和)
力の分解(resolution)
ベクトルを対角線とする、平行四辺形を描く
各辺が分解された力

斜面上の物体にかかる重力は2つに分解できる
①斜面に平行にずり落とそうとする力(斜面に平行な分力)
②斜面を押す力(斜面に垂直な分力)
傾斜が急になるほど、①のずり落ちようとする力が強くなり、②斜面を押す力は小さくなる

[重力]
地球が物体を引く力(地球はすべての物体を引いている)
重力を矢印じ表すときは、物体の中心(重心)から矢印を引く
(実際には物体全体に力がかかっているが、中心から引いた一本の矢印で代用する)
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[質量](mass):動かしにくさ
[重量](weight):重力の尺度

[運動量](Momentum)
Momentum = mass × velocity
= mv

運動量保存(momentum conservation)
ビリヤードで、止まっている玉(①)に、別の玉(②)が衝突して②の玉が静止したら、①の玉は②の玉が衝突してきたときのスピードで動いている

同じ運動量で反対方向に進む2つの物体が衝突したら、両方とも静止する

[力積](Impulse)
Impulse = Force × time
= Ft

力積=運動量の変化

F=ma
F=m×Δv/Δt
F×Δt=m×ΔV
Ft=Δ(mv) :運動量の変化量
 
・かたい壁ではなく、柔らかい壁にぶつかることで車を止める
・高い所から飛んで着地するときに、膝を曲げながら着地する
・ゴルフやテニスのフォロースルー
・ボクサーが、パンチを当てられる瞬間に頭を引いて衝撃を小さくする
→Ft=のtを大きくすることで、Fを小さくしている
・カウンターパンチ
→Ftのtを小さくすることで、Fを大きくしている

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[仕事]Work
仕事=力×距離
W = 1N × 1m 
 = 1N・m
 = 1J
1Jは1Nの力で1m動かした力
1J = 100gの重りを1m持ち上げるときにする仕事
(地球は100gの重りを1Nの力で引いているから)
★水平に押すときは、動かす物体の重さは関係ない。どれだけの力で押すかどうか(重いものを氷の上で押すより、軽いものを摩擦の大きい道路で押す方が、大きな仕事をしている)

★どれほど早く作業をしても、仕事の量は同じ
★どれほど強く壁を押しても、壁が動かなければ仕事は0

★仕事はエネルギーではない
エネルギー→エネルギーの変換をする

・ブレーキによる停車:路面とタイヤの摩擦力×停車距離(路面が仕事をしている)
・壁に突き刺すナイフ:ナイフと壁の割れ目の摩擦力×刺さった深さ

1cal=4.2J

飴玉一個:15kcal=15,000cal
  =63,000J
  
体重60kgの人がXmの高さまで登山をした場合

60kgにかかる重力:60*10N=600N

600N * Xm = 63,000J
  Xm = 105m

→飴玉一個で、約100m

[てこ]
力の方向を変え、必要な力を少なくする

仕事の量は変わらない
→仕事(入力)=仕事(出力)
→[力 × 距離](入力) = [力 × 距離](出力)

[天秤]
(支点・力点の距離) × 力(重さ) = (支点・力点の距離) × 力(重さ)
※動かした距離と天秤の腕の長さは一定の比になっているから

[定滑車](pully)
力の方向を変えるだけで、必要な力の強さは変えない
※てこの一種:支点、力点、作用点をさがす

[動滑車]
必要な力は半分になり、必要な距離は2倍になる
→仕事(力×距離)は変化しない(仕事の原理)
※てこの一種:支点、力点、作用点をさがす

[仕事率](Power)
Power=[work done] / [time interval] (J/s, W)
100kW engine = 134 horse power
仕事率の単位は[J/s(ジュール毎秒9)]、または[W(ワット)]
[エネルギー]
仕事の単位もエネルギーの単位もJ(ジュール)

[運動エネルギー](KE, kinetic energy)
仕事が運動エネルギーに変換されるので
Work = ΔKE [J]  ※単位も同じく[J(ジュール)]
KE = F × Distance
  = ma × Distance (F=maより)
  = ma × 1/2 × at^2 (d=1/2×at×t より)
  = 1/2 × m × (at)^2 
  = 1/2 × m × v^2 (at = vより)
  
[位置エネルギー](gravitational potential energy)
PE(potential energy) = mgh (mg:重力に対する力, h:距離)
= 力 × 距離 (仕事)

あるいは、KE = 1/2 × m × v^2
= 1/2 × m × (gt)^2
= (1/2 × gt^2) × g × m 
= h×g×m (落下距離h=(1/2)×g×t^2より)
= mgh

・水力発電は位置エネルギー→水流の運動エネルギー→電気エネルギー
(太陽光による海洋水の蒸発によって蓄えられた位置エネルギー)
・ものを持ち上げると、その時した仕事の分だけ位置エネルギーが増加する
・ジェットコースター
・振り子
・地下鉄

力学的エネルギー=運動エネルギー+位置エネルギー

エネルギーの保存(conservation of energy)
Energy cannot be created or destroyed; it may be transformed from one form into another, but the total amount of energy never changes.

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[振り子](pendulum)
①等時性:振れ幅が変わっても、1往復する時間は一定
②振り子の周期(1往復する時間)は糸の長さ(支点からおもりまでの距離)だけで決まる
※振れ幅、おもりの重さは関係ない
長い:ゆっくり
短い:速い
周期T=2π(l/g)^(1/2)

ひもの長さ→周期
1/2倍→0.70倍
2倍→1.41倍
3倍→1.73倍
4倍→2.00倍
5倍→2.23倍

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